コロナが流行しだしたあたりから観た映画ごとです。
「名もなき野良犬の輪舞」
刑務所で出会った男ふたりが友情を結び、出所後ともにある組織を乗っ取ることを画策したおはなし
人生の格言であり、唯一の真理はやっぱり「人を信用してはいけない」なのですね
「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
ヒトラーを暗殺しようとして失敗した実在の男性の、拷問と自白の日々、その中で過去と人生を振り返るおはなし
史実をもとにした実話なので、実際にこのエピソードを知りたければ見るとよい
一方でさすがドイツ映画、なんのセンスもおもしろみもなく作り上げたなという印象
淡々とした映画です
硬派といえば聞こえはいいけど、見ごたえとか記憶に焼き付くシーンとか芝居は一切ない
逆にすごい
「子宮に沈める」
離婚後幼な子ふたりを抱えてシングルマザーになるも、金銭的に困窮、夜の仕事に手を出し、徐々に育児放棄していく女性のおはなし
大阪府での実際の事件を元にした映画
ただ、実際の事件ではこの映画ほどには同情に値しない母だったらしい
淡々と進んでいく育児放棄
そりゃそうだけど、ある日急に子どもを育てるのをやめたのではなく、最初は子どもと遊び、好きな食べ物を作ってやり、それがいつしかおざなりになり、ご飯は三回でなくともいいやと思うようになり、多めに作って置いとけば何日か持つだろうと、、、
しかし結局子どもを捨てた日は、何かあっても子どもが外に出ないように、扉にガムテープまで貼り付けて出てきたことを、私は忘れられない
いきさつなんかどうでもよくて、子どもが死ぬことをわかっていて、むしろそれを願って、ガムテープを貼った
見なかったことにしたら全部なかったことにならないかな、くらいに思って出てきただろうに、なぜ帰ってきたのかはよくわからなかった
その後の淡々とした処理も
謎の注射だけ怖かった
「タクシー運転手 約束は海を越えて(原題:택시운전사/タクシー運転手/A Taxi Driver)」
光州広域市で起きた、民衆と政府および軍の激しい銃撃戦の中で起きた実話
光州の民衆弾圧の噂を聞き韓国へやってきたドイツ人記者と、金に目がくらんで記者を乗せてしまったシングルファザーのタクシー運転手、光州で出会った弾圧に苦しむ人々の戦いのおはなし
最後はかっこいいカーチェイスなのに、どうしてこんなに悲しいんだろうなぁ、と胸を打たれた
ソウル、他地域の人々がまったく知らないあいだにこんなことが起きていたなんて衝撃ですよね
まだまだ1980年のおはなし、光州弾圧そのものの終了は1987年頃だと思うと、そんなに昔のことでもないのも驚き
この光州事件を受けて、当時の大統領が死刑判決を受けていると言えば、どれほどむごいことを国家がしたかよくわかる
(恩赦で執行は為されませんでしたが)
「グッバイ、レーニン!」
東ドイツで社会主義に心酔した母が、デモに息子が参加しているのを見て卒倒、心臓発作で意識を失っているうちに東西ドイツ統一、意識を取り戻した母が再び心臓にショックを受けないように、いまだに東ドイツが存在するかのように生き続ける息子と、その周囲の人々のおはなし
無理矢理西ドイツのものを排除した暮らし、失われゆく東ドイツのものを拾い集めていく日々
コメディに分類されてたわりには暗い映画だったし、特に笑うところとかおもしろいとこはなかった
母が東ドイツに心酔し、国から表彰までされ、真面目に働いていた代償のお金は紙くず
もはやゴミやちり紙
隠し切れないほど街にあふれる西側の自動車は「西側からの難民であふれ始めた」
荒唐無稽で無茶苦茶、無理があるどころか無理だらけの日々に人々が付き合ってくれたのは、お母さんがかわいそうだからだけではなく、おそらくほんの少しだとしても心のどこかに東ドイツへの想いがあったのだと思った
バカバカしい、自由をくれ、西ドイツのように生きたい、そう願っていた人々の心の中で、じつは東ドイツはまだ生きていたような感じ
西ドイツになった喜び、民主主義と自由を手に入れた嬉しさ、そこにひとつまみだけ東ドイツへの愛がある気がする
ドイツらしく質実剛健で淡々としていて、コメディなのにユーモアなしの平坦な映画
起承転結や波がほしい人には向かないかな
ひとつだけ、彼女のララが言った言葉
「どうせウソならなんでもいいの?」は、いい言葉だった
「王様の事件手帖」
進歩的で変わり者の王様が、見たものをすべて記憶できる能力の持ち主ながらちょっとおまぬけな新入りの史官と、国を揺るがそうとする人物が起こす凶悪事件を解決していくおはなし
バディもの!
しかし最近はバディものが世にあふれすぎていて食傷気味
が、キャラクター設定を変えるだけでここまでおもしろいか!といえるコンビ爆誕
二人の男のコンビネーションと友情にドキドキしたりすることなく、ひたすら笑うだけのバディ
王様と部下
キレ者とおっちょこちょい
コメディ
なのに解決すべき事件はビックリのレベルの超凶悪事件
頭が突然燃えただと…!?
さすが韓国…!!
笑えるコンビがまったく笑えない恐怖の事件を解決
謎の機械で脱出するところ、クソほど笑った
優秀なエンタメ作品でした
「1987、ある闘いの真実(原題:1987)」
1987年1月、ある無実の学生運動家を拷問の末に死亡させてしまったことから始まった、このことを隠蔽しようとする国家、警察と、これに抗った人々や隠蔽を拒絶した人々、そして報道しようとした人々と、これを知り民主化抗争に突き進んだ人々の闘いのおはなし
事件そのものは実話であり、登場人物もほぼ全員が実在の人物なので、くわしく知りたい方は「パク・ジョンチョル(朴鐘哲)」や「6月民主化抗争」などで検索していただくとして
上の方に記した「タクシー運転手 約束は海を越えて」で描かれたのは1980年の光州地下でした
あのときは光州が異常なまでの弾圧を受けており、それから7年後のこの朴鐘哲拷問死まで、苛烈な緑化計画という名の無実の人々や民主化運動への攻撃や弾圧は全国へ広がり、そして続いていたわけです
翌年に大韓民国建国後初の晴れの舞台、ソウルオリンピックを控えて、治安維持というお題目のもとにさらに激化していたとも言われています
しかしこの状態を良しと思わない人が警察や検察の中にもいて、一人の死をまたも書類で簡単に片付けようとしたことに怒りの火を燃やす検事が、黙っていることのできなかった医師が、このままでいいと思っていなかった多くの「ひとり」が動き、また別の「ひとり」の心に小さな火をつけた
ほんの少しだけでもできることはないのだろうか、と思った瞬間、国という途方もない大きな存在を揺るがすことができた
自分は黙っていないぞと言うことが、どれほど危険なことだったかは想像もつきませんが、そんな黙っていない検事を演じたハ・ジョンウがかっこよすぎました
この人も実在の検事さん
彼があの書類にはんこを押していたら、この映画は存在しなかった
それにしても、このような弾圧、つまりアカ狩りですが
お隣の国との成り立ち上どうしても激しくなるのはわかるのですが
工作員は許さない、共産主義の人間は徹底的にとか言ってるうちにどんどんそっちじみてくるのなんなんでしょうね
すればするほどどんどん北朝鮮みたいになってくるの不思議でしょうがない
しかしアカ狩りのトップにいたのが脱北者というのも驚きだ
一人も逃さず工作員を捕まえないと自分の身が危ういっていうところから、どんどん過激化していったのだろうか
「ミッドナイト・ランナー(原題:청년경찰/青年警察)」
警察大学で同期として出会った、頭より先に身体が動くタイプのアホの子ギジュンと、理論派だがすっとこどっこいのヒヨルがひょんなことから友情を結び、外出で江南の夜のクラブに出かけたところ若い女性が拉致されるのを目撃、追いかけるも見失い、警察もあまり頼りにならず、二人で独自に操作を開始、徐々に真相に迫っていきながら警察の現実も知り、自分たちの目的や意思を知っていくおはなし
謎解き!
バディ!
ハラハラするスリル感!
成長!
うんうん、素晴らしいエンターテインメント
疾走感があり、なかなか退屈する暇もない
頭はいいが気もよく、ヘタレな面も強いが頑張るときは頑張る、そんな青年をやらせたら韓国ナンバーワンのカン・ハヌルさんが似合いすぎ
いつもメガネかけてるねカン・ハヌル
少しずつ人としても警察官志望者としても成長していき、目の前にいるのに助けられないことの悔しさも、警察という組織の中での難しさも学び、本当に本物の警察官に近付いていく二人のバディがさわやかでよい
二人のかわいさ、さわやかさからは想像もつかないほどの重くダーティで笑えない事件がさすが韓国すぎる
日本でもリメイクされると聞きましたが、この事件さすがに日本じゃ放送できんだろうなぁ…
最後まで目を離す間もなく、疾走感あふれる作りで、わりとすごすぎる事件のわりにはさわやかに終わります笑
「目撃者(The Witness)」
酔っ払って深夜に帰宅し、家でさらに缶ビールを開けていると声が聞こえ、ベランダに出たところ殺人事件を目撃、それに気付かなかった妻が電気をつけてしまい、犯人に目撃したことを知られてしまった男のおはなし
もうほんと怖い
ホラーとか全然大丈夫なんだけど、こういうの本当に怖い…!
あの夜以降犯人は常にそばにいて、様子をうかがっている
犯人に知られたことを悟ったために、警察への通報も諦めるしかなく、インターネットで匿名で申告しようとするも、それも断念
同じく目撃した女性に、一緒に警察へ言わないかとの懇願も振り切って、男は自宅を、家族を守るべく貝になる
しかし犯人はいつも男を監視していて、、、
ああ怖い
何が怖いって何もかも怖い
あんなに大きなマンションで、何世帯住んでるんでしょうね?
何千人といてもおかしくない気がするんですけど、誰も助けてはくれない
主人公はたまたま目撃しただけでかわいそうでもあるし、もしもを考えたとはいえ目撃したことを誰にも言うことなく警察の質問にも逆ギレするなど利己的でもあり
命がかかっているのだからと思えばそれはしかたなくもあり、責めたいような責められないような不思議な感じ
でも誰も助けてこず、助けるつもりもなかった人に万が一が訪れても、誰も助けてくれないのは当然だと思うんですよね
主人公はラストシーンで悟ったと思います
自分のことを誰も助けてはくれない、その哀しさと切なさを
あのとき犯人に襲われたことと同じかそれ以上に哀しかったということを
そしてあのとき警察に通報しなかったのは、大きな過ちだったことを
物言わぬ利己的で都会の冷たい男を、大好きなイ・ソンミンさんが熱演
熱い救急医や熱く信頼の置ける上司で人気になったはずが、その後はクールで犯人すら無罪にする有能弁護士やら、こちらの都会的で馴れ合わないサラリーマンなど、スカした冷たい役も増えてます
最後の起承転結の「結」にあたる部分は、山まではもうハラハラドキドキというか、スリルすごすぎでした
山はまあ、自分ひとりで解決しなくてはならなくなったのが、主人公にとっての報いというか、代償だったのかなと思う
しかしまあ〜ソウルの大都心のど真ん中でもあるまいし、あれだけのことが起きたマンションは値崩れしてもしょうがないだろな
誰も住まないだろあんなとこ
4億ウォンへのこだわりすごかったけど、もうその値段では売れないだろーなぁ
「テロ、ライブ」
テレビからラジオに左遷されて不満たらたらなキャスターのラジオ番組に、ある男性が生電話で登場、なんとその男はテロリストだった、彼との会話を生放送して話題となりテレビへ返り咲きたいキャスターと、過ちを認め大統領が謝罪することを要求する犯人の綱渡りの生放送がはじまるおはなし
謎解きしてるわけでもないのに、ラストはたいていの人が裏切られるのでは!
同じ目に遭ったら、私もキャスターと同じことをするなぁと思いました
大韓民国、政府、国と戦わせたらナンバーワン俳優ハ・ジョンウが今回も熱演
めちゃくちゃ肌荒れててびっくりした
狭いスタジオの中での緊迫の会話劇なので、場面転換もほとんどなく、画面の移り変わりもあまりありませんが、そういうのが好きな人は是非
「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」
香港マフィアの女帝氷姫が持つパープルダイヤを奪うべく香港へ向かうと、ジェシーという恋愛詐欺師も同じ宝石を狙っていることが判明、ジェシーはダー子とかつて親しかったらしく、ジェシーと手を組もうとするダー子に不安がるボクちゃんとリチャード、そこにお呼びでない男まで出てきて…なおはなし
ドラマは全話楽しく視聴
ドラマ観てない人は1秒たりとも観んでいい映画
なんか…ドラマ楽しく観てて好きだったから、映画もおもしろいだろうなーって思ってたんだけど、微妙???
スペシャルドラマでよかったかな、くらいのストーリー
ドラマとまったく同じといえば同じ
ドラマでもたぶん9話の中で当たりハズレが人によってあると思うんですよね
わたしは古代遺跡の回とかは何がおもしろいのか全然わからなくて
美術商のやつとか、映画公開の頃のスペシャル版もあんまりおもしろいとは思わなかった
けど、スポーツチーム買収はおもしろかったし、映画マニアもわりとくだらなくて好き
なので、この映画も好きな人は好きなのかなぁ
ドラマがおもしろいという印象があった分残念
また観ようとは思わない作品
テレビでスペシャルとして放送してたら、また感想も違ったかな
「JSA」
南北のJSA(共同警備区域)にて銃撃戦が起きるが、現場にいた両国の兵士たちはまったく違う証言をしたことから、中立国の捜査官が調査を開始、すると互いの証言とは全然異なる話ばかりが出てきて、徐々に真相に近付いていくおはなし
うーん
韓国の理想の北朝鮮を描いたって感じかな
勝手に思い描いた北朝鮮がすんごい
ありえない以前にファンタジーですね
ティンカーベルの世界
「トンネル 闇に鎖された男」
車を運転中にトンネル崩落事故に遭ってしまい、ペットボトルの水2本とケーキ1ホール、充電が70%ちょいの携帯電話で耐え続ける男と、事故を取り巻く人々のおはなし
タクシー運転手のようにマスコミの存在意義を再確認するものもあれば、彼の代わりに死んでくれとまで思うものもあり、ということで
特に被害者の妻が政府高官らお偉いさんと代わる代わる記念撮影させられてるところは、乾いた笑いが出た
日本題の「鎖された」ってなんだよ…って思ったら、「とざされた」って読ませるらしい
いや、読まないよ!!!!!
今回は以上です。
タクシー運転手と1987を続けて観たら心のダメージ大きかった。